たつの昔話「天然痘(疱瘡)の話」その2

そないなから、誰かに種痘をしてもらおうと、子供らに頼み込んだりしたんやけど、けったいな医者が言う実験みたいなこと誰もしてくれへん

しまいにはお金を出してまで頼んだんや。頭下げてな。

それからへっさかからへん。

村のみんなはびっくりしたで。

種痘はほんまによう効いたんや。

種痘したもんには疱瘡(天然痘)うつらへんのや。

やっと分かってもろた。

俣野先生はえらいひとやったと村のおじいなんか、手を合わせて涙をこぼして喜んだんや。

そら、わかってもらえるまで、なみやたいていではなかったで。

やっと、村にも笑いが戻ったんや。

村のもんは変わり身も早い。

「あのけったいな牛の薬な、よう効くで」

村の人たちは、そりゃ争うて種痘を受けたんや。

人間ゆうたら、ほんまにええかげんなもんやな。

種痘が効くと分かると、こんどは、見よう見まねで、金儲けのためにな種痘をこさえる人が出た。

そないな見よう見まねで、ええ薬は出きへん。

「あほか。そないなことはしたらあかん」

ええ痘苗を確保せなあかんゆうてな。

「種痘の確かな技術の伝授と良質の痘苗確保のため」

やとかで、大阪の緒方洪庵の除痘館から分苗を受けなあかんことになったんやと。

新宮から、疱瘡(天然痘)で無くなる人が、ごつうへったというこっちゃ。

続く

文/濱田 多代子

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